その特約、本当に必要?医療保険の「いらないオプション」仕分けリスト
医療保険を検討していると、「特約を付けておけば安心ですよ」と言われて、つい全部付けたくなりますよね。特に20〜40代の夫婦は、これから子どもが増えるかもしれない、転職や引っ越しもあるかもしれない、と将来が読みにくい時期です。
ただ、特約は“安心”と引き換えに毎月の保険料を確実に押し上げます。しかも、実際には使わないまま終わるものも少なくありません。この記事では、医療保険の「いらないオプション」を仕分けする考え方と、家計を守りながら後悔しにくい選び方を、できるだけわかりやすく整理します。
医療保険の特約は「全部入り」が正解とは限らない
医療保険の特約は、言ってみれば「追加オプション」です。スマホのオプションに似ていて、最初は少額に見えても積み重なると毎月の固定費になります。固定費は一度増えると下げにくいので、家計にじわじわ効いてきます。
また、医療の支払いは“すべてが高額になる”わけではありません。公的医療保険がある日本では、自己負担が一定額で止まる仕組みもあります。だからこそ、「不安だから全部」ではなく、「家計で受け止められない部分だけ保険で補う」が基本です。
まず押さえる:医療費の自己負担はどこまで増える?
医療費の自己負担は、現役世代なら原則3割です。ただし、入院や手術で金額が大きくなったときは、自己負担が一定額を超えにくくなる制度があります(一般に“高額になりすぎない仕組み”と理解しておけばOKです)。
一方で、制度でカバーされにくいのが次のような費用です。
- 差額ベッド代(個室などを希望した場合)
- 入院中の食事代の一部
- 交通費、家族の付き添い費用
- 先進的な治療や自由診療など、公的対象外のもの
- 入院で働けない期間の生活費(収入減)
つまり医療保険は、「医療費そのもの」よりも「周辺費用と収入減」をどう埋めるかの発想が大切です。ここが整理できると、不要な特約を外しても不安が残りにくくなります。
いらないオプション仕分けリスト(特約別)
1) 入院日額を過剰に増やす特約
入院1日○○円を上乗せするタイプは分かりやすい反面、必要以上に盛りやすい代表格です。最近は入院日数が短くなる傾向があり、「長期入院で日額が効く」ケースは昔より少なめです。
目安として、貯蓄で数十万円〜100万円程度の緊急資金が作れている家庭なら、日額を大きくしすぎず、手術やまとまった支出に備える設計のほうが合理的になりやすいです。
2) 通院特約(何となく付けるのは要注意)
通院特約は、支払条件が細かいことが多いです。たとえば「入院後の通院のみ対象」「対象日数に上限」「対象外の通院がある」など、思ったより出ないケースもあります。
通院費は確かに気になりますが、日常の通院は数千円〜数万円で収まることも多く、貯蓄で対応しやすい領域です。「家計に致命傷になる通院」をイメージできないなら、優先度は下がります。
3) 先進医療特約(“付け得”に見えるが設計次第)
先進医療特約は保険料が安く、勧められやすい特約です。ただし、すべての人に必須とは限りません。まず確認したいのは「先進医療を受ける可能性が高い病気への備えが、自分にとってどれくらい優先か」です。
また、先進医療の技術や対象は変わります。付けるなら、単独で軽く付けて、主契約や他の特約で保険料が重くなっていないかをセットで見てください。「先進医療を付けたから安心」ではなく、「家計の固定費を増やしすぎない」が前提です。
4) 入院一時金(重ねすぎに注意)
入院一時金は、短期入院でもまとまった給付が出るので、近年人気です。ただし、日額保障や他の一時金と重ねすぎると、保険料だけが上がりやすいです。
差額ベッド代を払うつもりがない、入院時の当面の出費は貯蓄で賄える、という家庭なら、金額を控えめにするか、不要と判断しても成り立ちます。
5) がん特約を医療保険に“全部のせ”する
がんの不安が強いと、医療保険にがん特約を重ねたくなります。ただ、がんは治療が長期化しやすく、必要なのは「入院」より「通院治療や収入減への備え」になりがちです。
医療保険のがん特約は、設計によっては通院や薬剤に弱いことがあります。がんが心配なら、医療保険に追加するより、がん保険を別で検討したほうが、保障が分かりやすく、見直しもしやすい場合があります。
6) 女性疾病特約(“女性なら必須”ではない)
女性疾病特約は、女性特有の病気で給付が手厚くなるものです。ただし、妊娠・出産に関する給付条件は商品差が大きく、「思っていたケースが対象外」も起こりがちです。
将来の出産に備えたい場合でも、特約で万能にカバーできるわけではありません。公的制度や勤務先の制度、貯蓄で備えられる部分も多いので、保障内容を読まずに“念のため”で付けるのは避けたいところです。
7) 生活習慣病特約(対象範囲と給付条件を要確認)
生活習慣病特約は、三大疾病などを手厚くするタイプが多いですが、どこまでが対象か、どの状態になれば支払われるかが重要です。軽症では出ない、入院が条件、など制限があることもあります。
「不安はあるけど、具体的にどんな時にいくら必要かが言えない」なら、まずは特約よりも、緊急予備資金づくりや働けなくなった時の備え(別の保障)を優先したほうが、家計の納得感が高くなります。
8) “お祝い金・無事故給付”系(基本的に優先度は低い)
給付がなければお祝い金がもらえる、というタイプは一見お得に見えますが、その分保険料に織り込まれています。保険の役割は「起きたら困る大きな出費への備え」です。貯蓄で積み立てたほうが自由度が高いことが多いです。
9) 特約を付けすぎて“更新で高くなる”タイプ
一定期間ごとに保険料が上がるタイプでは、特約を盛った分だけ将来の負担増が大きくなります。今の家計で払えるかではなく、「子育て期のピークでも払えるか」「住宅ローンと重なっても続けられるか」で考えるのが安全です。
逆に残しやすい特約と、選び方の基準
「いらない」を仕分けしたうえで、それでも残しやすいのは、目的が明確なものです。
- 短期入院でも出費が出ることが不安なら、入院一時金を必要最小限
- 貯蓄がまだ薄いなら、当面の自己負担を埋める範囲で日額を抑えめに
- どうしても先進医療が気になるなら、保険料が家計を圧迫しない範囲で単独付加
基準はシンプルで、「起きる確率」より「起きたとき家計が詰むか」です。ここに当てはまらない特約は、基本的に優先度が下がります。
やるべきこと:失敗しないチェックポイント
- 毎月の保険料を“合計”で見る(医療+がん+死亡+積立など全部)
- 入院したら何が困るかを3つ書き出す(例:収入減、差額ベッド、家事外注)
- 貯蓄で出せる上限額を決める(例:入院関連で最大20万円までは現金で対応)
- 特約ごとに「支払条件」を1回だけ確認する(対象になるケースを想像する)
- 将来の保険料(更新後)まで見て、子育て期に耐えられるか確認する
- 迷う特約は“保留”にする(まず土台の保障を整え、必要が見えたら追加)
特約は後から足せる商品も多いです。逆に、最初に盛りすぎると見直しが面倒になり、結果として高い固定費を払い続けやすくなります。
よくあるQ&A
Q1. 元本割れはありますか?
一般的な掛け捨ての医療保険や特約は、貯蓄商品ではないため「元本」という考え方自体がありません。払った保険料が戻らないのは通常です。「戻らない=損」ではなく、万一の大きな出費を平準化するのが目的です。
Q2. いくらから始めるべき?保険料の目安は?
家計の固定費を圧迫しない範囲が第一です。目安としては、医療保険単体で無理に手厚くするより、「貯蓄で吸収できないリスクだけ」を小さな保険料で押さえる設計が合いやすいです。具体額は収入と貯蓄、働き方で変わるので、「月いくらなら10年続くか」で決めるとブレにくくなります。
Q3. 子どもができたら医療保険は手厚くしたほうがいい?
優先順位が上がりやすいのは、医療費そのものより「働けない期間の生活費」です。医療保険の特約を盛る前に、家計の緊急資金、就業不能への備え、夫婦どちらかが倒れた時の生活設計を確認すると、必要な保障が見えやすくなります。
Q4. 既に特約を付けすぎたかも。解約・見直しはどうする?
まずは「主契約を残して特約だけ外せるか」を確認しましょう。そのうえで、外す候補は“目的が言語化できない特約”からです。いきなり全部外すのが不安なら、更新タイミングや家計の節目(引っ越し、出産前後、住宅購入前後)に合わせて段階的に整理すると続けやすいです。
まとめ:今日できる「最初の一歩」
医療保険の特約は、付ければ安心に感じる一方で、家計の固定費を確実に増やします。大切なのは「不安を全部保険で埋める」のではなく、「貯蓄で対応できない部分だけを小さくカバーする」ことです。
最初の一歩として、今入っている(または検討中の)保険の特約を紙かメモアプリに書き出し、それぞれに次の一文を付けてみてください。
- この特約は「何の支出」を埋めるため?
- それは貯蓄で出せない金額?
この2つに答えられない特約は、外しても生活の安心度があまり下がらない可能性が高いです。保険料が軽くなると、将来の選択肢(子ども、住まい、働き方)も広がります。まずは“必要性が言葉で説明できる特約だけ残す”ところから始めてみてください。
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