その保険、誰のため?「目的」から考える保険設計
リード文:保険選びで迷うのは「目的」が見えにくいから
保険を考え始めると、「このままで足りるのかな」「子どもができたらどうしよう」「共働きだけど、どちらかが働けなくなったら?」と、いろいろ不安が出てきます。さらに、ネットやSNS、保険ショップで情報が増えるほど、どれが正解かわからなくなりがちです。
迷いの原因はシンプルで、保険を“商品”から選ぼうとするからです。保険は本来、「もしも」が起きたときに誰の生活を、どこまで守りたいかという“目的”から設計するもの。目的がはっきりすると、必要な保障・不要な保障が整理でき、保険料もムダなく整います。
この記事では、20代〜40代の夫婦が将来のライフプラン変化(子ども、働き方、住宅、転職など)に備えるために、「目的から考える保険設計」をわかりやすく解説します。読み終えたときに、自分たちに必要な保険の方向性と、次にやるべき行動が見える状態を目指します。
「その保険、誰のため?」目的から逆算する保険設計
保険は大きく言うと、「起きる確率は高くないけれど、起きたときのダメージが大きいこと」に備える道具です。ここで大切なのが、“誰の生活を守るのか”を決めること。夫婦だけの期間と、子どもがいる期間、片働きと共働きでは、守りたい対象も必要額も変わります。
保険の目的は「お守り」ではなく「生活防衛の設計」
保険をなんとなく入っていると、「気づけば毎月の固定費が重い」「内容を説明できない」「更新で上がって驚いた」ということが起きやすくなります。保険は気持ちを落ち着かせるためではなく、家計と生活を守るための仕組みです。目的が明確なら、必要最低限でも十分に安心できます。
考える順番は「リスク」→「貯蓄」→「保険」
いきなり保険商品を比較する前に、次の順番で整理するとブレません。
- どんなリスクが不安か(死亡、病気、ケガ、働けない、介護、老後など)
- いまの貯蓄でどれくらい耐えられるか(生活費何か月分、治療費に回せる余力)
- 足りない部分だけ保険で補う
この順番にすると、「保険で貯金を兼ねたい」「とにかく全部入っておきたい」といった曖昧な選び方から抜け出せます。
夫婦でズレやすい「守りたいもの」を言葉にする
同じ夫婦でも、守りたいものの優先順位は違います。たとえば、「万一のときに残された人が生活できること」を重視する人もいれば、「入院や通院で家計が崩れないこと」を重視する人もいます。まずは次の質問に答えてみてください。
- もし明日どちらかが働けなくなったら、家計は何か月持つ?
- 住宅(賃貸/持ち家)と、毎月の固定費はいくら?
- 子どもができた場合、教育費はどの程度考える?
- 親の介護や援助の可能性はある?
この会話ができると、保険選びは驚くほどスムーズになります。
目的別に整理する:必要になりやすい保障・なりにくい保障
ここでは、夫婦のライフステージで変わりやすい「目的」を軸に、代表的な保障の考え方を整理します。大事なのは、すべてを入れるのではなく「自分たちの優先順位に合わせて組み立てる」ことです。
目的1:万一のとき、残された家族の生活を守る(死亡保障)
死亡保障は、「誰かがあなたの収入に依存している状態」ほど必要性が高くなります。夫婦共働きで貯蓄もあり、子どもがいない場合は、大きな死亡保障が必須とは限りません。一方、子どもがいる、またはこれから予定がある場合は、一定期間しっかり備える価値があります。
ポイントは、「一生分」ではなく「必要な期間だけ」厚くすること。子どもが小さい間、住宅ローンが重い時期など、家計の弱い期間に合わせて考えると合理的です。
目的2:病気やケガで家計が崩れないようにする(医療・がん)
医療保障は「入院したらいくら出る」よりも、「自己負担が増えたときに家計が耐えられるか」で考えると失敗が減ります。短い入院が増える傾向もあり、入院日数に連動する保障だけに頼ると、思ったより役に立たないと感じることもあります。
また、がんは治療が長引くことがあり、収入への影響や通院負担も考慮したいところです。ただし、保険で全部を賄おうとすると保険料が膨らみやすいので、「貯蓄で払える範囲」と「保険で補う範囲」を分けるのがコツです。
目的3:一番怖いのは「収入が止まること」(就業不能・収入減への備え)
夫婦世帯で意外と見落とされがちなのが、病気やメンタル不調などで「長く働けない」期間です。入院費よりも、家賃や住宅ローン、生活費が毎月出ていくことのほうがダメージが大きくなります。
共働きなら「片方が止まっても回る家計か」、片働きなら「止まった瞬間に詰む家計か」を確認しましょう。ここが弱い場合は、働けない期間の生活費を補う仕組み(貯蓄、会社の制度、必要に応じて保険)を検討する価値があります。
目的4:将来のために増やすお金は「保険」と分けて考える(貯蓄・投資)
「保険で貯めたい」という声は多いのですが、生活防衛の保険と、将来増やすためのお金は役割が違います。増やす目的なら、家計の余力と期間を味方につけて、より柔軟な選択肢を持てることが多いです。
保険に貯蓄機能を求める場合も、「何年使わないお金か」「途中で見直しが必要になったらどうするか」を先に考えておくと、後悔が減ります。
やるべきこと:夫婦で決める手順と、失敗しないチェックポイント
ここからは、実際に保険を整えるための手順を、迷いにくい形でまとめます。今日からできる内容に落とし込みます。
手順1:家計の「守るべき固定費」を見える化する
まずは、万一のときも払い続ける必要がある固定費を出します。家賃・住宅ローン、管理費、保険料、通信費、車のローンなどです。守るべき生活水準を「月いくら」として把握できると、必要保障が現実的になります。
手順2:「最悪の1年」を想定して不足額を計算する
たとえば、どちらかが働けなくなった場合に、貯蓄で何か月持つかを試算します。ここでの目的は不安を煽ることではなく、「不足があるなら、どれくらいか」を具体化して対策しやすくすることです。
手順3:保険は「期間」と「目的」をセットで決める
保険は入ったら終わりではありません。子どもの誕生、住宅購入、転職、独立などで必要性は変わります。だからこそ、加入時点で次の2つをセットにします。
- 何のための保障か(生活費、治療費、教育費など)
- いつまで必要か(子どもが独立するまで、ローン完済までなど)
失敗しないチェックポイント
- 「なんとなく不安」で保障を足していないか(目的が説明できるか)
- 家計を圧迫して、貯蓄ができなくなっていないか(保険料は固定費)
- 同じ目的の保障が重複していないか(医療系の付けすぎに注意)
- 更新で保険料が上がる可能性を理解しているか
- 今の働き方・会社の制度(休職、傷病手当など)を確認したか
- 見直しのタイミング(出産、住宅、転職)を決めたか
すべてを完璧にする必要はありません。大切なのは、「目的が言える」「家計が回る」「変化に合わせて見直せる」の3点です。
よくあるQ&A
Q1:貯蓄型の保険って元本割れしますか?
元本割れの可能性はあります。特に、短期間で解約した場合や、途中で減額・解約すると、払った金額より戻りが少なくなることがあります。貯蓄目的で使うなら、「いつまで使わないお金か」を先に決め、その期間は基本的に触らない前提で検討すると安全です。
Q2:いくらから保険を始めるべきですか?
金額の正解は家庭ごとに違いますが、目安として「保険料が高すぎて貯蓄が止まる」設計は避けたいところです。まずは生活防衛資金(緊急時の現金)を確保しつつ、足りないリスクにだけ小さく入るのが堅実です。最初から大きく固めず、ライフイベントに合わせて調整できる余白を残しましょう。
Q3:子どもがいない夫婦でも死亡保障は必要ですか?
必要性は「どちらかの収入に生活が依存しているか」「貯蓄で当面の生活が回るか」で決まります。たとえば家賃やローン、生活費の負担割合が大きい場合は、一定期間の保障があると安心につながります。逆に、共働きで貯蓄も厚いなら、優先順位は医療・就業不能・貯蓄の整備に移ることも多いです。
Q4:保険ショップや紹介は中立ですか?
有益な担当者も多い一方で、提案の前提や得意分野には差があります。大切なのは「なぜそれが必要か」を目的ベースで説明してもらえるか、そして複数の選択肢(保障を減らす提案も含む)を提示してくれるかです。提案書をもらったら、目的・期間・総保険料・見直し条件を確認しましょう。
Q5:見直しはどれくらいの頻度で必要?
毎年細かく変える必要はありません。ただし、出産、住宅購入、転職(収入変化)、独立、病気、親の介護など「家計の前提が変わるとき」は見直しの合図です。最低でも2〜3年に一度、目的と保障額がズレていないか確認すると安心です。
まとめ:今日できる最初の一歩
保険は「何に入るか」ではなく、「誰の生活を、どんな場面で守るか」という目的から決めると、ムダが減り、不安も整理されます。ライフプランが変わりやすい20代〜40代の夫婦こそ、最初から完璧を目指すより、変化に合わせて見直せる設計にしておくことが大切です。
最初の一歩として、今日やることは次のどれか一つで十分です。
- 夫婦で「もし明日働けなくなったら」を10分だけ話す
- 毎月の固定費を洗い出し、守りたい生活費の目安を出す
- いま入っている保険の目的を一言で書き出す(言えないものは要注意)
目的が言語化できた瞬間から、保険は“難しい買い物”ではなく、“家計を守る設計”に変わります。不安をゼロにするのではなく、不安に振り回されない状態を一緒に作っていきましょう。
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