共働きから片働きになった時の保険見直しチェック
共働きから片働きになると、収入が減るだけでなく「もしもの時に家計が受けるダメージ」が一気に大きくなります。いままでなら、どちらかが働けなくなってももう一方の収入である程度支えられたのに、片働きではそれができません。
一方で、保険料も家計にとって重く感じやすくなります。「保障を手厚くしたいのに、固定費は増やせない」「子どもを考え始めたけど、教育費まで想像すると不安」——そんな気持ちはとても自然です。
この記事では、片働きになったタイミングで見直すべき保険を、優先順位つきで整理します。読むことで「何を増やし、何を削り、何を保留にするか」が判断しやすくなり、ムダな保険料を抑えつつ、必要な保障はきちんと確保できるようになります。
共働き→片働きで「保険の前提」が変わる理由
保険は、今の暮らしを前提に組み立てられていることが多いです。共働きのときは、家計の土台が「収入2本」になっているため、どちらかに何かあってももう一方でカバーできる余地がありました。
片働きになると、家計の土台が「収入1本」になります。つまり、働いている人に万一が起きたときの影響が大きく、必要な保障は上がりやすい。一方で、家計が細くなるので保険料は下げたい。この相反する条件の中で、優先順位をつけて整理することが見直しのコツです。
見直しが必要になりやすい3つの変化
片働きになるタイミングでは、次の変化が起きがちです。
- 毎月の可処分所得が減り、保険料が固定費として重く感じる
- 働く人にもしものことがあると、生活費・住宅費が一気に不足しやすい
- 妊娠・出産・育休・転職など、近い将来のライフプランが動きやすい
まず押さえる:家計の守り方は「3つの順番」
保険を見直す前に、家計を守る方法には順番があることを知っておくと迷いにくくなります。いきなり保険だけで全部を解決しようとすると、保険料が高くなりやすいからです。
順番1:生活防衛資金(貯金)を確保する
まずは、急な出費や一時的な収入減に備える貯金です。目安は生活費の3〜6か月分。片働きでまだ家計が固まっていない場合は、まず3か月分を最優先にし、余裕が出たら6か月分を目指すと現実的です。
順番2:公的制度(健康保険・傷病手当・遺族年金)を把握する
日本は公的保障が比較的しっかりしています。たとえば会社員なら、病気やケガで働けないときに「傷病手当金」が出ることがあります。万一のときには遺族年金がある場合もあります。保険は、この公的保障で足りない部分を埋めるのが基本です。
順番3:足りない部分だけを保険で埋める
必要以上に盛ると、保険料が家計を圧迫して本末転倒になります。片働きの見直しでは「生活費の穴」と「働けない期間の穴」を中心に、必要な分だけを足す発想が大切です。
保険見直しチェック(生命・医療・就業不能・学資)
1. 生命保険(死亡保障):片働きでは最優先で確認
片働きで最も影響が大きいのは、働いている人に万一があったときです。遺族年金や貯金でまかなえない生活費の不足分を、生命保険で補えるかをチェックしましょう。
確認ポイントは「いくら必要か」よりも、「いつまで必要か」です。たとえば子どもが小さい時期ほど必要性は高く、子どもが独立するにつれて必要額は下がりやすいです。
- 働いている人の死亡保障は、家賃・住宅ローン・生活費を基準に「数年分の生活費」を意識する
- 配偶者(専業・パート側)の死亡保障は、葬儀費用+当面の生活立て直し費用が中心になりやすい
- 保障は一生分を厚くするより、「必要な期間だけ」手厚くするほうが保険料を抑えやすい
2. 医療保険:入院より「働けないこと」の影響を意識
医療保険は入院・手術に備えるものですが、片働きで本当に怖いのは「治療費」より「収入が止まること」です。高額になりやすい医療費は公的制度で軽減されることも多い一方、収入減は家計に直撃します。
そのため医療保険は、すでに加入しているなら内容をシンプルに整える程度でも十分なことがあります。通院や先進的な治療などを不安に感じる場合は、家計と相談して上乗せを検討しましょう。
- 入院日額を高くしすぎていないか(家計に合っているか)
- 貯金でまかなえる範囲を保険で重ねていないか
- 保障を厚くするなら、まずは就業不能への備えと優先順位を比較する
3. 就業不能(働けない)への備え:片働きの「盲点」になりやすい
片働きで見落としやすいのが、死亡ではなく「生きているけれど働けない」状態です。特に住宅ローンや固定費がある家庭では、数か月の収入減でも家計が苦しくなります。
会社員なら傷病手当金がある場合がありますが、期間や金額には上限があります。自営業やフリーランスの場合は、そもそも手当がないケースもあるため、より慎重な検討が必要です。
- 働けない期間の生活費を、貯金で何か月耐えられるか
- 会社員か自営業かで、公的保障の差を確認する
- 必要なら「毎月いくら補うか」を決めて、保険料とのバランスを見る
4. 学資保険・教育費:保険で固めすぎない
これから子どもを考えるご夫婦にとって、教育費は大きなテーマです。ただ、片働きになってすぐは家計の変化が大きく、固定費を増やしすぎると身動きが取りにくくなります。
教育費は、必ずしも保険で準備する必要はありません。まずは家計の土台(貯金・死亡保障・働けないリスク)を整えたうえで、毎月の積立を無理のない金額から始めるのが安全です。
- 保険で積立を固定化すると、途中で家計が苦しくなったときに調整しにくい
- まずは毎月の積立額を決め、家計が安定してから方法を選ぶ
- 教育費より先に、生活防衛資金が薄くなっていないか確認する
やるべきこと&失敗しないチェックポイント
やるべきこと1:家計の「固定費」を見える化する
保険は固定費なので、片働きでは特に管理が重要です。家賃(または住宅ローン)、通信費、車、サブスク、保険料を並べて、「毎月必ず出ていくお金」を合計しましょう。ここが把握できると、保障を増やすべきか、整理すべきかの判断がしやすくなります。
やるべきこと2:働いている人を中心に、必要保障を組み直す
片働きの基本は、働いている人の万一・就業不能への備えを優先することです。一方、専業(またはパート)側の保障は、家計への影響に合わせてスリム化できる場合があります。
失敗しないチェックポイント
- 「何となく不安」で特約を足しすぎない(不安は数字にすると整理しやすい)
- 保障を一生分で厚くしない(必要な期間だけ手厚くする)
- 貯金で対応できる小さなリスクまで保険で重ねない
- 更新型の保険は、将来の保険料が上がる可能性を確認する
- 夫婦それぞれの加入状況を一枚のメモにまとめ、重複を減らす
見直しの進め方(迷ったらこの順番)
- 加入中の保険をすべて書き出す(保険会社・月額・保障内容・期間)
- 生活防衛資金が足りているか確認する
- 働いている人の死亡保障と就業不能の穴をチェックする
- 医療保険は過不足の調整にとどめ、固定費を増やしすぎない
- 教育費の積立は、家計が固まってから段階的に
よくあるQ&A
Q1. 積立型の保険は元本割れしますか?
可能性はあります。特に加入して間もない時期に解約すると、払った保険料より戻りが少ないことは珍しくありません。積立型は「長く続ける前提」で設計されていることが多いので、片働きになって固定費が重いと感じるなら、まずは保障の優先順位を整理し、続けられる形に調整するのが現実的です。
Q2. いくらから保険(や積立)を始めるべき?
正解は家計によりますが、片働きになった直後は「続けられる金額」が最重要です。目安として、生活防衛資金がまだ薄いなら、保険料や積立を増やす前に貯金を優先してください。すでに生活費3〜6か月分の貯金があり、固定費にも余裕があるなら、必要な保障の不足分を小さく埋める形でスタートすると失敗しにくいです。
Q3. 夫婦どちらの保険を手厚くするべき?
基本は「家計の収入を支えている人」です。片働きでは、働いている人の死亡保障・働けないリスクへの備えを優先します。専業(またはパート)側は、万一のときに必要になる費用(葬儀費用、当面の生活立て直し、外注費が増えるならその分)を中心に、過不足を調整するとバランスが取りやすいです。
Q4. 子どもがまだいないのに、死亡保障は必要?
必要性は家庭の固定費次第です。たとえば住宅ローンや家賃負担が大きい、貯金が少ない、将来子どもを考えている、という場合は「当面の生活を立て直すための保障」は検討する価値があります。逆に、貯金が十分で固定費も軽いなら、最低限にしておき、妊娠・出産のタイミングで再設計する方法もあります。
Q5. 見直しの相談は誰にするのが安心?
保険会社の窓口は自社商品が中心になりやすいので、複数社を比較したいなら中立的に比較できる窓口が向きます。ただし、提案が「商品中心」になっていないかは要注意です。相談前に、加入中の保険と家計の固定費、貯金額、将来の予定(子ども・住宅・転職)をメモしておくと、不要な上乗せを避けやすくなります。
まとめ:今日できる最初の一歩
共働きから片働きに変わると、保険は「節約」か「増強」かの二択ではなく、優先順位をつけて組み替えるものになります。ポイントは、働いている人の死亡保障と働けないリスクを中心に、貯金と公的制度で埋まる分を差し引いて、足りない部分だけを保険で補うことです。
最初の一歩としては、難しい計算よりも先に「加入中の保険を全部書き出す」ことをおすすめします。保険証券の写真でも、メモでも構いません。月額保険料の合計と、保障期間(いつまで続くか)を見える化できるだけで、次に何を直すべきかが驚くほどはっきりします。
片働きは不安が増えやすい時期ですが、家計の守り方を整えられるチャンスでもあります。焦らず、固定費を増やしすぎず、必要な保障だけを味方につけていきましょう。
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