「保険は難しい」と感じる人が知るべきシンプル思考法
「保険って、結局なにが正解かわからない」。「勧められるままに入るのは不安だけど、自分で選ぶのも難しい」——そう感じるのは自然なことです。保険は種類が多く、言葉もややこしく、しかも家庭の事情(子ども、住宅、働き方)が変わるたびに答えが変わります。
ただ、安心してください。保険は「全部理解してから決めるもの」ではなく、「必要な分だけ、シンプルに揃えるもの」です。この記事では、20代〜40代の夫婦が迷いを減らし、ムダなく備えるためのシンプル思考法と、具体的な進め方をわかりやすく整理します。読み終わる頃には、次に何をすればいいかがはっきりします。
リード:なぜ「保険は難しい」と感じるのか
保険が難しく見える最大の理由は、保険そのものが複雑だからというより、「判断軸がない状態で情報だけ増える」からです。たとえば、医療、がん、死亡、収入減への備え、貯蓄型、掛け捨て型……と並べられると、どれも必要に思えてしまいます。
さらに厄介なのが、「将来が変わるかもしれない不安」です。子どもが欲しい、転職するかもしれない、家を買うかもしれない。未来が不確かなほど、保険に“全部乗せ”したくなります。でも、保険で大事なのは“心配をゼロにすること”ではなく、“家計を壊さずに大きなリスクだけ避けること”です。
ここからは、そのための考え方を3つに絞ってお伝えします。
「保険をシンプルにする」3つの思考法
思考法1:保険は「確率が低いけど、起きたら家計が詰む」ことに使う
保険は、日常の小さな出費をカバーする道具ではありません。たとえば数万円の出費は、貯金や家計管理で対応した方が柔軟です。一方で、突然の入院が長引いて収入が減る、働けない期間が続く、万一のことが起きて生活費が足りない——こうした「家計が続かないレベルの損失」に保険を使うと、選ぶべきものが一気に絞れます。
思考法2:「いつまで必要か」を先に決める
保険選びで迷いがちなのが、保障を“一生分”で考えてしまうことです。しかし、必要な保障は人生のステージで変わります。たとえば、夫婦2人の時期と、子どもが小さい時期では、必要な死亡保障も家計の守り方も違います。
そこでおすすめなのが、「いつまで必要?」を先に決めることです。よくある目安は、子どもが独立するまで、住宅ローンが落ち着くまで、貯金が一定額に達するまで、など。期限が決まると、ムダな“長すぎる保障”を避けやすくなります。
思考法3:保険と貯蓄を混ぜない(混ぜるなら目的を分ける)
「貯蓄もできて保障もある」と聞くと魅力的ですが、目的が混ざると判断が難しくなります。原則はシンプルで、生活を守るための保障は保険、将来のお金づくりは貯蓄や資産形成、と分けると迷いが減ります。
もし貯蓄型を検討する場合も、「何年後に、いくら必要で、そのお金をどこまで確実に確保したいか」を先に決めましょう。ここが曖昧だと、「なんとなく良さそう」で選び、途中で見直しにくくなりがちです。
夫婦・家族の保険で最初に決める順番
保険をシンプルに整えるコツは、順番です。おすすめは「家計へのダメージが大きい順」に考えること。以下の流れで整理すると、必要以上に増えにくくなります。
1)生活防衛費(貯金)を確認してから、足りない部分だけ保険で埋める
まずは家計のクッションを確認します。目安として、生活費の3〜6か月分の貯金があると、細かい不安が減り、保険も最小限にしやすくなります。貯金がまだ薄い時期は、保険料をかけすぎるより、貯金を育てる方が効果的なことも多いです。
2)万一のときの「収入の穴」をどう埋めるか(死亡・就業不能の考え方)
夫婦どちらかに万一があった場合、残された家族の生活費はどうなるか。ここは感情ではなく、「毎月いくら足りないか」で考えるのがコツです。たとえば配偶者の収入、貯金、勤務先の制度、公的な支えでどこまでカバーできるかを見て、足りない期間だけ備えます。
また、死亡より現実的に起こりやすいのが「働けない期間」です。長期で働けないと、治療費よりも生活費が効いてきます。自営業・フリーランス、共働きで片方の収入に依存している家庭ほど、この視点が重要になります。
3)医療は「入院したら家計が崩れるか?」で判断する
医療保険は加入率も高く、選択肢も多い分、迷いやすい領域です。ここはシンプルに、入院や手術があった時に、自己負担や収入減を貯金で受け止められるかで考えます。
不安が強い場合は、まずは基本的な医療の備えを小さく持ち、ライフプランが固まってから追加を検討する方が、結果的にムダが出にくくなります。
4)「子どもが欲しい・できた」のタイミングは、保障の増減ポイント
子どもがいない夫婦は、死亡保障は最小限でも成立しやすい一方、子どもができると「教育費+生活費」を守る必要が出てきます。ポイントは、ずっと大きな保障を持つのではなく、必要な時期だけ増やして、不要になったら減らすことです。
やるべきこと:失敗しないチェックポイント
最後に、実際に保険を選ぶ・見直すときに役立つチェックポイントをまとめます。ここだけでも押さえておくと、判断がぶれにくくなります。
- 目的を1つに絞って考える(例:万一の生活費、働けない期間の生活費、医療費など)
- 「いくらもらえるか」ではなく「毎月いくら足りないか」を先に計算する
- 保障は“必要な期間だけ”にする(子どもの独立まで、貯金が貯まるまで等)
- 保険料は「家計の固定費」として無理のない水準にする(苦しいなら設計が重いサイン)
- 複数の保険を足し算する前に、今の保障内容を一覧にする
- 説明が理解できないまま契約しない(その場で決めず、持ち帰って確認する)
- 見直しのタイミングを決める(結婚、出産、転職、住宅購入、独立など)
そして一番大事なのは、「完璧な答えを探しすぎない」ことです。保険は一発勝負ではなく、人生の変化に合わせて整えていくもの。まずは大きな穴だけ塞げていれば、合格点です。
よくあるQ&A(元本割れ・いくらから・見直し頻度など)
Q1. 元本割れが怖いです。貯蓄型の保険はやめた方がいい?
「いつ解約するか」で答えが変わります。途中でやめる可能性があるなら、元本割れのリスクは現実的に起こりえます。将来の予定が変わりやすい20代〜40代は、まずは掛け捨てで必要保障を整え、貯蓄は別で積み立てる方がシンプルです。
一方で、「この目的で、この期間は続ける」と腹落ちしているなら、貯蓄型が合うケースもあります。ポイントは、目的と期間がはっきりしているかどうかです。
Q2. いくらから始めるべき?保険料の目安はありますか?
一律の正解はありませんが、生活を圧迫しないことが最優先です。迷う場合は、まずは最低限のリスク(万一・働けない・基本的な医療)に絞り、家計の固定費として無理なく払える水準で設計します。
保険料が高いと感じるなら、「保障が過剰」「期間が長すぎる」「特約を付けすぎ」になっていることが多いので、目的に立ち返って削るのが近道です。
Q3. 共働き夫婦でも死亡保障は必要ですか?
必要かどうかは「残された側の生活が成り立つか」で決まります。共働きでも、家賃(または住宅ローン)、生活費、将来の教育費などを片方の収入だけで賄えないなら、一定期間の死亡保障があると安心です。逆に、貯金が厚く、生活費も抑えられているなら最小限でも成立します。
Q4. 医療保険は入った方がいい?入らなくても大丈夫?
貯金で受け止められるか、が判断基準です。数日〜短期の入院があっても家計が崩れないなら、優先度は下がります。一方で、貯金がまだ少ない・自営業で収入が止まりやすい・入院時の出費が不安という場合は、基本的な医療の備えが心理的にも家計的にも支えになります。
Q5. 見直しはどれくらいの頻度でやればいい?
毎年細かくいじる必要はありません。大きなイベント(結婚、出産、転職、住宅購入、独立、収入の増減)があったときに、保障の「不足」と「ムダ」を点検するのが効率的です。何も変化がないなら、2〜3年に一度の棚卸しでも十分です。
まとめ:今日できる最初の一歩
保険を難しくしているのは、情報量ではなく「判断の順番が決まっていないこと」です。シンプルにするコツは、保険を“家計が詰むリスク”にだけ使い、必要な期間を決め、貯蓄と混ぜないこと。この3つで、選択肢は驚くほど整理できます。
最初の一歩として、今日やるならこれがおすすめです。
- 夫婦の毎月の生活費をざっくり出す
- 貯金で何か月もつかを確認する
- 「万一」「働けない」「医療」で、家計が詰むのはどれか1つ選ぶ
たったこれだけでも、次に検討すべき保険が見えてきます。保険は、未来の不安を消すためではなく、今の暮らしを守りながら前に進むための道具です。焦らず、必要な分だけ、シンプルに整えていきましょう。
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