生命保険料控除で「住民税」がいくら安くなる?年末調整で損をしない書き方
「生命保険に入ったけど、年末調整って何を書けばいいの?」「住民税が安くなるって聞くけど、結局いくら?」そんな不安、よく分かります。特に20〜40代の夫婦は、出産・住宅・転職などライフプランが動きやすく、家計の固定費である保険料は“なんとなく”で放置すると損が出やすい分野です。
この記事では、生命保険料控除で住民税がどれくらい軽くなるのかを、できるだけかみ砕いて説明しつつ、年末調整の書き方でつまずきやすいポイントも整理します。読み終える頃には「自分の場合、どの程度の節税になるか」「今年の年末調整で何をすればいいか」がはっきりします。
生命保険料控除で住民税はいくら安くなる?結論と早見
結論から言うと、生命保険料控除による住民税の軽減は「控除額 × 住民税率(基本10%)」が目安です。住民税は所得割が原則10%なので、控除額が大きいほど住民税も下がります。
ただし、生命保険料控除には上限があります。一般的な「新制度(2012年以後の契約が中心)」では、住民税の控除は次のイメージです。
- 区分ごとに住民税の控除上限:28,000円
- 3区分すべて使えた場合の合計上限:70,000円
この上限まで使い切れた場合、住民税の軽減目安は「70,000円 × 10% = 年7,000円程度」です。月にすると約583円。大きな臨時収入ではありませんが、毎年きっちり取りにいける“確実な取りこぼし防止”です。
生命保険料控除の基本(新制度・旧制度、3つの区分)
生命保険料控除は「払った保険料の一部を所得から差し引ける」制度
生命保険料控除は、1年間に払った保険料(掛け金)のうち、一定額を「所得控除」として差し引ける仕組みです。所得が少なく見える分、所得税・住民税が安くなります。
区分は3つ:一般・介護医療・個人年金
控除は、保険の種類によって大きく3つに分かれます。
- 一般生命保険料控除:死亡保険、収入保障、定期・終身などが主に対象
- 介護医療保険料控除:医療保険、がん保険、介護保険などが主に対象
- 個人年金保険料控除:一定の条件を満たす個人年金保険が対象(証明書に区分が記載)
ポイントは「区分が分かれている=それぞれ別枠で控除枠がある」ことです。同じ会社の保険でも、商品によって区分が違います。まずは保険会社から届く「控除証明書」の区分を確認しましょう。
新制度・旧制度の違い(ざっくりでOK)
生命保険料控除には「旧制度(主に2011年以前の契約)」と「新制度(主に2012年以後の契約)」があります。年末調整で迷いやすいのですが、実務上は「控除証明書に書いてある区分・制度に従って記入する」でOKです。
同じ区分内で旧制度と新制度の契約が混在することもありますが、会社の申告書はその混在を前提に作られています。自分で計算して最適化するより、「証明書どおりに漏れなく書く」ことが最重要です。
年末調整で損をしない書き方(保険料控除申告書のコツ)
必要なのは「控除証明書」+会社の申告書
年末調整で生命保険料控除を受けるには、保険会社から届く「生命保険料控除証明書(はがき・封書)」が必須です。これがないと、原則として年末調整では控除を反映できません(なくした場合は保険会社に再発行依頼)。
書き方の鉄則は「区分ごとに、証明書の金額を転記」
申告書には、一般・介護医療・個人年金といった欄があります。基本は、各証明書に書かれた「年間の保険料(または控除対象額)」を、該当欄に転記します。
よくある間違いは、複数の保険を合算して別の区分に入れてしまうことです。例えば医療保険を一般生命の欄に入れると、集計が崩れて控除が減る、または会社から差し戻しになることがあります。
「配偶者の保険を自分が払っている」ケースは要注意
控除を受けられるのは、原則として「保険料を実際に負担した人」です。契約者や被保険者が誰かではなく、家計から誰が払ったかが大事です。
- 夫の口座から引き落とし:夫が控除を取るのが基本
- 妻の口座から引き落とし:妻が控除を取るのが基本
- クレジットカード払い:カード名義人(支払った人)側で整理
共働き夫婦は、どちらが払っているかが混ざりやすいので、控除証明書と引き落とし口座(またはカード明細)を一度セットで確認すると安心です。
具体例でシミュレーション(住民税の軽減額の目安)
住民税の軽減額は厳密には所得状況で変わりますが、目安としては「住民税の控除額 × 10%」でイメージできます。
例1:一般生命だけ加入(住民税控除が最大28,000円まで)
例えば、一般生命保険料をしっかり払っていて住民税の控除が上限の28,000円まで届いたとします。
- 住民税の控除:28,000円
- 住民税の軽減目安:28,000円 × 10% = 年2,800円程度
「年間2,800円か」と感じるかもしれませんが、保険は長く続くもの。10年なら約28,000円相当になり、手続きは年1回の転記だけです。
例2:一般+介護医療の2区分を使える
死亡保険(一般)と医療保険(介護医療)の両方があり、どちらも上限まで控除できた場合の目安です。
- 住民税の控除:28,000円+28,000円=56,000円
- 住民税の軽減目安:56,000円 × 10% = 年5,600円程度
例3:3区分すべて上限(合計70,000円)まで使えた
一般・介護医療・個人年金の3区分を使い切れた場合は、住民税の軽減は次の目安です。
- 住民税の控除:合計70,000円
- 住民税の軽減目安:70,000円 × 10% = 年7,000円程度
なお、実際には所得税側の軽減も別であります。住民税だけでなく、所得税(税率は人により異なる)も同時に軽くなるのが生命保険料控除のうれしい点です。
やるべきこと・失敗しないチェックポイント
- 控除証明書を集める(保険会社ごと、契約ごとに来る)
- 証明書の「区分(一般/介護医療/個人年金)」を確認する
- 申告書には区分ごとに正しく転記する(合算の入れ間違いに注意)
- 誰が払った保険料かを確認する(共働きは特に重要)
- 10〜11月に住所変更・改姓があったら証明書の名義を確認する
- 証明書をなくしたら早めに再発行依頼する(締切直前は混む)
年末調整は「完璧な節税テクニック」よりも、「書類不備ゼロで期限内提出」の方が結果的に得です。迷ったら、控除証明書の記載どおりに、丁寧に写す。これが最強です。
よくあるQ&A(元本割れ、いくらから、共働きは?など)
Q1. 貯蓄型保険は元本割れしますか?
元本割れの可能性はあります。特に、早期解約すると返戻金が払込保険料を下回りやすい商品が多いです。控除で戻る税金(住民税で最大年7,000円程度)があっても、元本割れの損失を埋めるほど大きくはなりにくいので、「控除があるから得」とは考えないのが安全です。
Q2. いくらから始めるべき?保険料はいくらが目安?
控除だけを目的に「いくら払うべきか」を決めるのはおすすめしません。保険は家計のリスクに備えるものなので、まずは必要保障(死亡・医療・就業不能など)を整理して、その結果として保険料が決まるのが自然です。
そのうえで、年末調整では「払った分は漏れなく控除に入れる」。この順番が失敗しにくいです。
Q3. 共働き夫婦は夫婦それぞれで控除できますか?
できます。ポイントは「誰が保険料を負担したか」です。夫が払った分は夫、妻が払った分は妻で、それぞれ年末調整(または確定申告)で控除を申告します。家計が同じ財布でも、引き落とし口座やカード名義で整理しておくとスムーズです。
Q4. 年末調整に間に合わなかったらもう無理?
会社の年末調整に間に合わなくても、確定申告で取り戻せるケースが多いです(会社員でも可能)。ただし手間は増えます。できれば年末調整で片付けるのが最短ルートです。
Q5. 生命保険料控除は「住民税だけ」安くなるんですか?
いいえ、基本は所得税と住民税の両方に影響します。この記事では住民税に絞って説明しましたが、年末調整で手続きをすると、所得税の精算にも反映されます。「住民税のため」ではなく「税金全体のムダを減らすため」と捉えると分かりやすいです。
まとめ:今日やる最初の一歩
生命保険料控除で住民税が安くなる額は、最大でも年7,000円程度が目安です。ただし、これは「何か特別なこと」をしなくても、すでに払っている保険料を正しく申告するだけで取れる可能性があるお金です。だからこそ、取りこぼしがもったいない分野でもあります。
最初の一歩はシンプルです。今日、次の2つだけやってください。
- 保険会社から届いている「生命保険料控除証明書」を1か所に集める
- 証明書に書かれた区分(一般/介護医療/個人年金)に付せんを貼る
これができれば、年末調整の記入はほぼ勝ち確です。不安が残る場合は、加入している保険の「目的(何に備える保険か)」も一緒に見直してみてください。ライフプランが変わりやすい20〜40代こそ、保険は“入りっぱなし”ではなく“整えながら使う”方が、家計も気持ちもラクになります。
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