もしも今、自分に万が一があったら…残された家族に必要な「保障額」の計算式
この記事でわかること
この記事では、「もしも今、自分に万が一があったら残された家族にいくら必要か」を、難しい専門用語を使わずに計算できるように整理します。結論から言うと、必要な保障額は「遺された家族の支出」と「入ってくるお金」の差を、必要な期間ぶん積み上げて求めます。
リード文:もしもの時、家族のお金はどうなる?
まだ20代・30代だから大丈夫。共働きだし何とかなる。そう思っていても、ふと「もし自分が明日いなくなったら?」と考える瞬間はありますよね。
子どもがいる・いないに関係なく、家族の形や働き方はこれから変わります。出産、転職、住宅購入、親の介護。ライフプランが動くほど、「今の備えで足りるのかな」という不安も大きくなりがちです。
でも、保険は“なんとなく”で選ぶと、保障が足りなかったり、逆に払いすぎたりします。この記事を読めば、あなたの家庭に必要な保障額を「計算」で出せるようになり、保険選びや見直しの軸ができます。
必要な「保障額」の基本と考え方
まず前提として、万が一のとき家族に必要なお金は、ざっくり次の2つで決まります。
- 遺された家族が今後支払っていく「生活費・教育費・住居費などの支出」
- 遺された家族に入ってくる「公的なお金・勤務先の弔慰金・遺族年金・貯蓄など」
つまり、必要保障額は「足りない分(不足額)を埋めるための金額」です。保険は、その不足をカバーする道具にすぎません。
「いくら必要?」をブレさせる3つの要素
同じ年収でも必要保障額が変わるのは、主に次の3つが違うからです。
- 家族構成(配偶者の有無、子どもの人数・年齢)
- 働き方(共働きか、片働きか、今後変わる予定があるか)
- 住まい(賃貸か持ち家か、住宅ローンの有無)
特に住宅ローンは大きな分かれ道です。一般的に団体信用生命保険(団信)に入っていれば、万が一のとき住宅ローン残高がゼロになることが多く、住居費の不足が小さくなります(契約内容によって違うため要確認)。
保障額の計算式(超シンプル版)
ここからが本題です。計算式はシンプルにしてOKです。まずは「ざっくり不足額」を出しましょう。
計算式(基本形)
必要保障額 = 将来必要なお金(支出の合計) − 将来入ってくるお金(収入・資産の合計)
支出の合計に入れるもの
家庭によって違いますが、まずは次を入れると現実に近づきます。
- 遺された家族の生活費(毎月)×必要な年数
- 子どもの教育費(予定がある場合)
- 住居費(家賃、固定資産税、修繕費、管理費など)
- 葬儀費用・当面の予備費(引っ越し、家電買い替えなど)
入ってくるお金の合計に入れるもの
ここを入れ忘れると、保障を積み過ぎて保険料が重くなります。
- 貯蓄(普通預金、積立、すぐ使えるお金)
- 勤務先からの死亡退職金・弔慰金(見込み)
- 遺族年金など公的な給付(目安でOK)
- 配偶者の収入(働き続ける前提なら一部反映)
遺族年金の金額はケースで差が出ます。ここでは厳密な計算より、「もらえる可能性がある」「ゼロではない」ことを前提に、ざっくり反映するだけでも十分役立ちます。正確に知りたい場合は、日本年金機構のねんきんネットや年金事務所で確認できます。
実務で使いやすい「不足額」の出し方
細かい家計簿がなくても、次の順で出すと迷いません。
- ステップ1:遺された家族の毎月の必要生活費を決める(例:手取りの70%など)
- ステップ2:必要年数を決める(例:末子が22歳まで、または配偶者が定年まで)
- ステップ3:教育費・住居費・予備費を足す
- ステップ4:貯蓄・退職金・遺族年金見込みを引く
ポイントは「完璧に当てにいかない」ことです。保険は毎年見直せます。最初は幅を持たせて計算し、生活の変化に合わせて調整するほうがうまくいきます。
モデルケースで試算してみる
ここではイメージが湧くように、よくある家庭の例を1つだけ置きます。あなたの家庭に置き換えて数字を入れ替えてみてください。
例:30代夫婦+子ども1人(3歳)、賃貸、貯蓄200万円
前提(例)
- 遺された家族の生活費:月25万円
- 必要年数:子が22歳まで=19年
- 教育費:進路により幅があるため、とりあえず300万円で置く
- 住居費:家賃が生活費に含まれている前提
- 葬儀・当面の予備費:150万円
- 入ってくるお金:貯蓄200万円+遺族年金(ざっくり)月8万円×19年
計算(概算)
- 支出:生活費25万円×12×19年=5,700万円
- 支出:教育費300万円+予備費150万円=450万円
- 支出合計:6,150万円
- 収入:遺族年金8万円×12×19年=1,824万円
- 収入:貯蓄200万円
- 収入合計:2,024万円
必要保障額(不足額)=6,150万円−2,024万円=約4,126万円
この「約4,100万円」が、万が一のときに家族が困らないための目安になります。ここからさらに、配偶者が働く見込みが強いなら不足額は小さくできますし、住居購入予定がある・子どもをもう1人希望などがあれば上乗せが必要かもしれません。
保障は「一生同じ額」じゃなくていい
子どもが成長するほど必要額は減ることが多いです。なぜなら、教育費の山を越え、必要な生活費の期間も短くなるからです。だから「最初は大きめ→時間とともに小さく」という設計は、とても合理的です。
やるべきこと・失敗しないチェックポイント
計算ができたら、次は行動に落とし込みます。ここでは遠回りしないためのポイントをまとめます。
やるべきこと
- 家族の毎月の必要生活費を決める(まずは現状の支出ベースでOK)
- 「いつまで保障が必要か」を決める(子が独立するまで、配偶者が安定するまで等)
- 貯蓄・会社の保障・公的給付をメモして差し引く
- 不足額を「一括で必要か」「毎月の補填か」に分けて考える
失敗しないチェックポイント
- 貯蓄をゼロとして計算しない(保障の買い過ぎにつながる)
- 住宅ローンの団信を確認せずに住居費を二重計上しない
- 「教育費は全部保険で」ではなく、貯蓄・学資・家計の中で役割分担する
- 共働き家庭は、残された側の働き方が変わる可能性も織り込む(時短・転職など)
- 保障額は固定せず、ライフイベント(出産・住宅購入・転職)ごとに再計算する
特に多いのが「不安だから最大額にする」パターンです。保険料が家計を圧迫すると、貯蓄が進まず、結果的にリスクが増えることもあります。必要な分だけ、身軽に持つのが基本です。
よくあるQ&A
Q:元本割れが怖いです。掛け捨ては損ですか?
「元本割れがない=安心」とは限りません。貯蓄型は途中解約で元本割れすることがありますが、掛け捨てはそもそも“貯める商品”ではなく“万が一の大きな出費を小さな保険料で移す仕組み”です。
保障額の目的が「遺された家族の生活を守る」なら、必要な期間だけ掛け捨てで大きく備えるほうが合理的な場面も多いです。貯めるお金は貯蓄や積立で分けて用意すると、家計管理がシンプルになります。
Q:いくらから始めるべき?最低ラインはありますか?
最低ラインは家庭ごとに違いますが、迷うなら「葬儀費用+当面の生活費6〜12か月分」をひとまず目安にして、次に不足額の計算へ進むのがおすすめです。
最初から完璧な保障額にするより、「まず小さく入って、計算して、必要なら増やす」のほうが失敗が少ないです。
Q:子どもがいない夫婦でも、大きな保障は必要?
ケースによります。家賃や生活費を1人の収入に大きく頼っているなら、一定期間の生活費を補う保障があると安心です。一方で、共働きで貯蓄もあり、住居費も小さいなら、大きな保障より「医療・就業不能など生きているリスク」への備えを優先したほうが納得感が出ることもあります。
Q:共働きだと死亡保障は少なくていい?
一般には不足額が小さくなるため、死亡保障は減らせる傾向があります。ただし「残された側が今と同じように働けるか」は別問題です。子育て、心身の負担、親のサポート事情で働き方が変わる可能性があるなら、最初から少なすぎる設計は避けたほうが安心です。
Q:計算が面倒です。ざっくりでも意味ありますか?
意味があります。むしろ、最初はざっくりで十分です。大事なのは、保険会社のおすすめではなく「自分の家の不足額」を基準に判断できることです。年1回でも再計算すれば、保障の過不足は小さくできます。
まとめ:今日できる最初の一歩
必要な保障額は、「将来の支出」から「入ってくるお金」を引いた不足分です。難しい商品比較より先に、不足額を一度数字にするだけで、保険選びの迷いは驚くほど減ります。
今日の最初の一歩はシンプルです。
- 家計の毎月支出を見て「遺された家族に必要な生活費」を1つ決める
- 保障が必要な期間を「何年」と置く
- 貯蓄額をメモして、上の式に当てはめる
ライフプランは変わって当たり前です。だからこそ、変化に合わせて「計算し直せる仕組み」を持っておくことが、いちばん心強い備えになります。
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