就業不能保険が必要な人は誰?自営業者が絶対に無視できない「働けないリスク」
「もし明日、働けなくなったら…」と考えたとき、いちばん不安なのは“収入が止まること”ではないでしょうか。貯金で何とかなる気もする一方で、家賃や住宅ローン、生活費、将来の教育費などは待ってくれません。特に20代〜40代は、結婚・出産・転職・独立などでライフプランが変わりやすく、守るべきものも増えていく時期です。
この記事では、就業不能保険(働けない状態に備える保険)が「どんな人に必要で、誰には優先度が低いのか」をわかりやすく整理します。さらに、会社員よりも自営業者が無視できない理由、失敗しない選び方、よくある疑問までまとめました。読み終える頃には、あなたの家庭にとっての“必要な備え”が具体的に見えてくるはずです。
就業不能保険とは?まず押さえたい基本
就業不能保険は、病気やケガで一定期間働けなくなったときに、毎月決まった給付金を受け取れる保険です。目的はシンプルで、「収入が止まる期間の生活費を穴埋めすること」。死亡保険が“万一のときの遺族の生活”に備えるのに対し、就業不能保険は“生きているけれど働けない”状態に備えます。
ポイントは、入院しているかどうかだけで決まらない商品が多いことです。最近は自宅療養や通院でも、条件を満たせば給付対象になるタイプもあります。ただし、保険会社や商品ごとに「どんな状態を就業不能とみなすか」「何日目から支払われるか」「いくら・いつまで出るか」が異なるため、内容の見比べが重要です。
押さえておきたい3つの用語(やさしく)
難しい言葉に見えますが、意味は単純です。
- 支払対象:どんな状態なら給付されるか(例:医師の指示で働けない状態が継続 など)
- 免責期間:働けなくなっても、最初の一定期間は支払われない期間(例:60日、180日)
- 給付期間:給付が続く期間(例:1年、5年、60歳まで など)
就業不能の「働けないリスク」が家計に与える影響
働けないリスクが厄介なのは、収入が減る一方で支出はあまり減らないことです。むしろ、通院費や薬代、家事代行、タクシー代などが増えることもあります。
例えば共働き家庭でも、片方の収入が止まるだけで家計の余裕は一気に薄くなります。さらに、復職までに数カ月〜半年かかるケースも考えると、「貯金で何とかする」には想像以上の体力が必要です。貯金は生活防衛費として大切ですが、就業不能が長引くと、教育資金や住宅資金まで切り崩すことになり、将来計画が崩れてしまいます。
公的制度はあるけれど、万能ではない
会社員なら、健康保険の傷病手当金などで一定の所得補償が期待できる場合があります。一方で、受け取れる期間や金額には限りがあり、満額の給料が戻るわけではありません。また、自営業者はこの仕組みが基本的にありません。公的制度がある人でも、「生活費の不足分」まで埋まるかは別問題です。
就業不能保険が必要な人・不要になりやすい人
就業不能保険は、万人に必須というより「家計の形」によって必要度がはっきり分かれます。ここでは判断の目安を整理します。
必要度が高い人
- 自営業・フリーランスで、働けない=売上ゼロになりやすい人
- 住宅ローンや家賃など、毎月固定で出ていくお金が大きい人
- 貯金が生活費の3〜6カ月分に満たない人
- 共働きでも片方の収入が家計を大きく支えている人
- 子どもを希望している、これから家族が増える可能性が高い人
優先度が下がりやすい人
- 十分な生活防衛費があり、1年程度収入が止まっても耐えられる人
- 配偶者の収入だけで生活が成り立ち、固定費も小さい人
- 手厚い福利厚生があり、長期の所得補償制度が確保されている人
ただし「今は大丈夫」でも、出産や住宅購入、独立などで家計が変わると必要度は上がります。ライフプランが変わりやすい20代〜40代ほど、“将来の変化込み”で考えることが大切です。
自営業者が絶対に無視できない理由(会社員との違い)
自営業者・フリーランスが就業不能リスクを軽視できない最大の理由は、「働けない期間の代わりが効きにくい」ことです。会社員なら、休職中も一定の制度が働き、職場復帰の受け皿も残ることが多い一方で、自営業は“あなたが現場”です。
自営業者は「売上が止まる」だけでなく「信用」も落ちやすい
納期が遅れる、案件を断る、連絡が滞る。これが一度起きると、回復後も仕事が戻らないケースがあります。収入の落ち込みが、休んだ期間以上に長引くこともあるのです。
固定費が高いほどダメージは増える
事務所家賃、リース、外注費、通信費など、事業の固定費がある人は特に注意が必要です。働けないときも固定費は発生します。生活費だけでなく、事業を維持するための資金繰りにも影響する点は、会社員よりシビアです。
「貯金で何とか」は、最初に尽きやすい
自営業者は、税金や社会保険料の支払いがまとまって来ることがあります。さらに、病気やケガのタイミングは選べません。「収入が止まる+支払いが来る」が重なると、貯金は想像より早く減ります。就業不能保険は、貯金を守るための“時間を買う仕組み”として考えると分かりやすいでしょう。
失敗しない選び方:やるべきこと・チェックポイント
就業不能保険は、入って終わりではなく「必要なときに出る内容か」がすべてです。ここでは失敗しにくい手順と確認ポイントをまとめます。
やるべきこと1:まずは家計の不足額を見える化する
目標は「毎月いくら足りなくなるか」を出すことです。手取り収入から、生活に必要な固定費と最低限の生活費を引き、配偶者収入や公的制度で補える分も考慮します。
- 住宅費(ローン・家賃)
- 光熱費・通信費
- 食費・日用品
- 保育料・教育費(想定含む)
- 保険料・税金・社会保険料(自営業は特に)
不足額が月10万円なら給付金も10万円前後、月20万円なら20万円前後というように、根拠を持って決められます。
やるべきこと2:免責期間は「貯金で耐える期間」と合わせる
免責期間が短いほど安心ですが、保険料は高くなりがちです。逆に免責期間が長いと保険料は抑えやすい一方、最初の数カ月を貯金でしのぐ必要があります。
目安として、生活防衛費が少ない人は短めを検討、半年分以上の貯金がある人は長めでも成立しやすい、という考え方が現実的です。
チェックポイント:ここだけは契約前に確認
- どんな状態が「働けない」と判定されるか(自宅療養・メンタル不調の扱いなど)
- 給付が始まるまでの期間(免責期間)
- 給付が続く期間(1年なのか、長期なのか)
- 給付金額と保険料のバランス(家計を圧迫していないか)
- 更新型か、保険料が変わりにくいタイプか
- 途中で見直しや減額がしやすいか(ライフプラン変化に対応できるか)
特に自営業者は、「生活費+最低限の事業固定費」をどう守るかまで考えると、必要保障がブレにくくなります。
よくあるQ&A
Q. 就業不能保険に「元本割れ」はありますか?
就業不能保険は、基本的に貯蓄ではなく“もしものときの補償”を買う仕組みです。そのため、解約時に払った保険料がそのまま戻る商品は多くありません。元本割れというより、「使わなければ戻らない可能性が高い」性質だと理解すると納得しやすいです。
Q. いくらから始めるべきですか?
まずは「毎月の不足額」を基準に考えるのが正解です。目安としては、最低限の生活を守るために月10万〜15万円程度から設計する人も多いですが、家賃やローン、家族構成、共働きかどうかで最適解は変わります。背伸びして高額にすると保険料が負担になり継続できないため、“続けられる金額”で組み立てることが大切です。
Q. メンタル不調でも給付されますか?
商品によって扱いが分かれます。対象になる場合もあれば、条件が厳しかったり、保障範囲が限定されたりすることもあります。ここはパンフレットや約款の重要ポイントなので、加入前に必ず確認しましょう。
Q. 会社員でも入る意味はありますか?
あります。ただし優先順位は「公的制度や会社の制度でどこまでカバーできるか」によって変わります。傷病手当金などで一定期間の補償が見込めても、手取りの満額は戻りません。住宅ローンや教育費の負担が重い家庭ほど、上乗せの必要性が高くなります。
Q. 貯金があるなら保険はいりませんか?
貯金が十分にあれば、保険の優先度は下がります。ただし「貯金を取り崩すと、将来の資金計画が崩れる」場合は要注意です。就業不能保険は、貯金を守りながら回復までの時間をつなぐ選択肢として検討する価値があります。
まとめ:今日からできる最初の一歩
就業不能保険が役立つのは、「働けない期間の生活が不安」な人、特に自営業者のように収入の代替が効きにくい人です。家族の形や将来の予定が変わりやすい20代〜40代こそ、今の状況だけでなく“これからの変化”も含めて備えることで、安心感は大きく変わります。
最初の一歩はシンプルです。今日、家計の固定費を並べて「収入がゼロになったら、毎月いくら足りないか」を書き出してください。その不足額をベースに、免責期間を貯金と照らし合わせて、無理のない給付金額を決める。ここまでできれば、就業不能保険を検討するときに迷いが減り、必要なものだけを選べるようになります。
不安をゼロにするのは難しくても、備えを“見える化”するだけで心は軽くなります。あなたの家庭に合った形で、働けないリスクと上手に付き合っていきましょう。
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